近年話題になっているSDGs。SDGsを考慮して企業が新たな施策を行ったり方針転換を行ったりすることも珍しくなくなりました。
SDGsを経営に取り入れて企業活動をすることは、企業のマーケティング戦略を考えた際にも、今度ますます一般化していくでしょう。
この記事ではSDGsに取り組む自社をPRする上で欠かせないSDGsロゴの使い方や必要な許可について解説していきます。
ロゴのダウンロードはどこでできる?
SDGsは国連サミットで採択されたものなので、ロゴのダウンロードも「国際連合広報センター」から行います。言い換えればSDGsのロゴや使用方法についての公式サイトとなりますので、ロゴダウンロード時にはサイト内を一読しておくとよいでしょう。サイトは日本語に対応しています。
SDGsロゴの使用に許可は必要?
SDGsロゴのダウンロード自体はサイトから自由にでき、企業や担当者の登録は必要ありません。但し、使用するにあたっては許可が必要な場合があります。
許可が必要なのは「商業用途」「資金調達目的」として使用する場合です。
「商業用途」「資金調達目的」に該当するパターン
「商業用途」の使用とは、ロゴを販促用の商品や自社製品に使用することを指します。たとえばロゴがあしらわれた筆記用具や粗品などをキャンペーンの一環として配布したり、販売したりする際には国連の許可とライセンス契約が必要になります。
「資金調達目的」の使用とはSDGsを支援する活動をするための費用をまかなうための資金調達にSDGsロゴを使用することを指します。たとえSDGsの普及や支援をするために団体を立ち上げるとしても、ロゴを使用するには事前に国連による許可とライセンス契約が必要になるので注意が必要です。
許可申請をする場合は、予定される使用用途がSDGsの精神や目的、ガイドラインと合致しているかなどを記した文章を英文でメールし、許可が下り次第使用可能となります。
許可の申請方法は、アイコンやロゴをどのように使用するつもりかを具体的に示すサンプルまたは試作品に希望する用途の簡潔な記述を添え、件名をすべて大文字で「SDG
LOGO/ICON REQUEST」としたメッセージを sdgpermissions@un.org まで提出することになります。
それ以外の場合はSDGsロゴ使用に許可は不要
「商業用途」「資金調達目的」以外の目的で使用するのなら、ロゴ使用に許可は必要ありません。企業は営利組織なので結果として商業用途・資金調達につながるのではないかと思ってしまいがちですが、ロゴを使用する活動だけにフォーカスして考えると分かりやすいです。
たとえば、社内の勉強会でSDGsについて学ぶ際に作成する資料にロゴを引用する、自社の取り組みを社外に伝えるために会社ロゴと並べて表示するといった場合には許可は必要ありません。
逆に自社で有料セミナーを開催する際にロゴやアイコンを使用するのなら、イベント関連の資料(招待状、チラシ、バナー、ポスターなど)へのロゴやアイコンに対しての使用許可が必要になります。
教科書を含め、印刷出版物や電子書籍に SDGsロゴやアイコンを使用するためには、書面による事前許可が必要となります。報道機関(新聞、雑誌、TV、ウェブ)による情報目的での利用は、ガイドラインに従うことを条件に申請なく利用可能です。
また、許可が必要かどうかのルールとは別にロゴの使い方についてもルールがあります。次項からはロゴ使用時のルールについて確認していきましょう。
SDGsロゴの使い方は自由?
ロゴを使用するにあたっては、使用時のルールが細かく定められています。ロゴ使用時にはルールの遵守が必須です。主なルール、間違いやすいルールについて紹介します。
SDGsロゴは2種類
ロゴには「非国連主体用」と「国連システム内主体用」の2種類があります。後者は国連のマークがついているもので、いわば関係者専用のロゴ。基本的には国連マークのついていない「非国連主体用」のロゴを使用することになります。
非国連主体という言葉はイメージがしづらいですが「自分の会社」「あなたの会社」と言い換えると分かりやすいです。この記事では非国連主体という前提で注意事項を解説しています。
基本ルール「ロゴやアイコンを加工してはいけない」
SDGsロゴとカラーホイール、17種類のアイコン使用時の基本ルールは「加工は禁止」です。
このことを念頭に、注意すべきルールについて確認していきましょう。
色を変えてはいけない
SDGsロゴには白黒版とその白黒反転版、カラー版の計3パターンがあります。カラー版は背景が白のものとライトグレーのものの2パターンがあるので、ロゴだけでも4パターンあります。
SDGsアイコンにはカラー版とその反転版、白黒版の3パターンがあります。ロゴのカラー反転版、アイコンの白黒反転版はありません。用意されているもの以外は使用不可で、たとえばアイコンの色を独自のものに変えることはできません。
書体を変えてはいけない
SDGsロゴやアイコンに使用されている文字の書体は変更できません。
用意されている画像のまま使用するようにしてください。
形を変えてはいけない
ロゴやアイコンを引き延ばしたり縮めたりして、縦横比を変えることや、一部だけをトリミングする、陰付けをするといったことは禁止されています。
会社ロゴとSDGsロゴを並べるときにも注意点が
自社の取り組みをアピールする際に、自社のロゴとSDGsロゴやアイコンを並べて表記したい企業は多いでしょう。並列表記する際には以下のようなルールがあります。
・会社ロゴとSDGsロゴ・カラーホイール・アイコンの間に黒い縦線を設ける
(会社ロゴは左に置く)
・縦線の太さは0.5ポイント
・縦線は黒100% 薄い黒も含めてその他の色は不可
・縦線と両ロゴの間にスペースを設ける
・資金調達目的のみでの使用につき、会社ロゴはSDGsロゴ、SDGsカラーホイールまたは17のSDGsアイコンよりも目立つようにしなければならない。
・資金調達目的以外の場合、会社ロゴとSDGsアイコンの大きさを同じにできる
※SDGsロゴには上下の余白スペースの大きさが定められており、結果として資金調達目的以外であっても会社ロゴの方が大きくなります
※カラーホイールは画像としてはアイコンと同じ大きさですが、上下に余白があるため、会社ロゴと並べると実質的に会社ロゴの方が大きくなります
SDGsロゴ使用時には「添えるのが必須の文言」あり
会社のロゴとSDGsロゴまたはカラーホイールを並べて表記する場合は「(主体名/私たち)は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています」という文言の表記が必須となっています。文言なしにはSDGsロゴやカラーホイールと会社ロゴを並べて表記してはいけません。
会社ロゴとSDGsアイコンのみの表記の場合は「(主体名/私たち)は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています」の文言が必要かどうか、ガイドラインには記載がありませんが、表記をしておいた方がよいでしょう。
カラーホイール使用時の注意点
カラーホイールについても「加工は不可」です。
色の変更や縦横比の変更の禁止といった基本のこと以外にも、以下のことが禁止されています。
・SDGsのアイコンをカラーホイール上に置かない
これはたとえば「目標1:貧困をなくそう」のアイコンをカラーホイールの赤部分に置いてはいけないということです。
・SDGsのアイコンをカラーホイールの中央部分に置かない
自社が力を入れている取組みを強調させるといった意味合いで、ホイール中央の空白部分に特定のアイコンを置くことは禁止されています。
・SDGsロゴをカラーホイール中央部分に置かない
アイコンと同様に、ロゴであっても中央に置くことはできません。ホイールの中央は元の画像のまま空白にしておく必要があります。もちろん会社ロゴのようなものも置けません。
・カラーホイールの要素の位置や大きさを変えない。
カラーホイールを回転させたり、色配置を変えたりすること、特定の場所の大きさを大きくしたり小さくしたりすること、なくすことは禁止です。
SDGsアイコン使用時の注意点
アイコンならではの注意事項は以下の2点です。
・一部のSDGsアイコンを混合、対比またはグループ分けすることで、恣意的な類型を作らない
たとえば17種類のアイコンのうち、自社が取り組んでいる5点について取り出して使用する際、それを2列に並べて上段中央に2つ、下段に3つと並べるといった表彰台のような並べ方はできません。
アイコンのいくつかをピックアップすること自体は問題ありませんが、使用する際には一列に並べるか、左寄せで並べる必要があります。2列以上で並べる際にも左寄せであれば問題ありません。
・SDGsアイコンのグラフィックは、当該アイコンから取り出して使わない
たとえば「目標1:貧困をなくそう」であれば人が手をつないでいるグラフィックが使用されています。
文言や背景を無視して人が手をつないでいるグラフィック部分だけを取り出して使用することはできません。
まとめ
SDGsのロゴやアイコン、カラーホイールにはそれぞれ使用にあたってのルールが設けられています。せっかく自社の取り組みについてアピールをしようとロゴやアイコンを使用しても、間違った運用をしてしまっては、会社の信用問題にも関わります。しっかりとガイドラインを遵守し、疑問点があれば「国際連合広報センター」に問い合わせるとよいでしょう。
正しく使用すれば企業としての生存戦略や事業機会の創出、イメージアップや人材の確保といったさまざまな方面でプラスの効果が期待できます。企業マーケティングという面からもSDGsのロゴやアイコンの使用を、ぜひ検討してみてください。